雪止めとは、屋根に積もった雪が落ちるのを防げる部材ですが、「後付けできるの?」「工事の注意点が知りたい」などと思っている方もいるのではないでしょうか?
雪止め工事についての知識がないと、きちんとした効果が現れなかったり、雨漏りなどのトラブルに発展したりする可能性が出てきます。
そこで本記事では、屋根の雪止め工事のメリット、デメリットや注意点などを紹介します。
屋根に雪止め工事をするメリット
屋根に雪止め工事をするメリットは以下の3つです。
- 落雪を防げる
- 雨どいが壊れなくなる
- 近隣トラブルを防げる
落雪を防げる
雪止め工事をすると、落雪を防げます。
雪は塊になると重量が出てくるので、落雪すると近くのモノを破壊してしまったり、怪我をしたりする可能性が高くなります。
そのため、頻繁に雪が降るところに雪止めを付けると、事故やトラブルを防げるようになります。
雨どいが壊れなくなる
雪止め工事をすると、雨どいが壊れなくなります。
なぜなら屋根に溜まった雪が落ちると、雨どいに大きな負担が掛かってしまい破損する可能性があるからです。
雨どいが破損すると、雨水を適切に排出できなくなって雨漏りの原因になるため、雪止めの取り付けはとても重要です。
近隣トラブルを防げる
雪止め工事をすると、近隣住民とのトラブルを防げます。
なぜなら、雪止めを付けると、隣の敷地の車や人に落雪した雪が当たらなくなるからです。
決して故意ではなくても、自分の屋根が原因で事故になれば損害賠償を請求されるなどのトラブルになるので、しっかり雪止めを付けておきましょう。
屋根に雪止め工事をするデメリット
屋根に雪止め工事をするデメリットは以下の3つです。
- 雨漏りの原因になる
- 雪下ろし作業の妨げになる
- 劣化すると錆びる
雨漏りの原因になる
雪止め工事は既設の屋根を改造するため、施工した部分が雨漏りの原因になる可能性があります。
特に、劣化部分がある状態で工事すると、雨水が侵入するリスクが高まります。
事前に屋根の点検をして、劣化箇所がないか業者に確認をお願いしましょう。
雪下ろし作業の妨げになる
雪止め工事をすると、雪下ろし作業の妨げになります。
雪下ろし作業とは、建物に負荷がかからないようにスコップなどで雪を取り除く作業です。
屋根に雪止めがついているとスコップが引っ掛かり、作業に時間が掛かるので、雪が多く降る場所ではあえて雪止めを付けない人も多いです。
劣化すると錆びる
雪止め工事をすると、屋根が錆びる可能性が出てきます。
雪止めの多くは金属製であり、雨や雪の影響で錆びる性質があります。
すると、雪止めからもらい錆びを受けて屋根全体が錆びてしまうのです。
頻繁に雪止めを取り替えたりステンレスの雪止めにしたりして、錆が広がらないようにしましょう。
雪止めの種類
雪止めの種類は以下の3つです。
- 瓦タイプ
- 金具タイプ
- ネットタイプ
瓦タイプ
瓦タイプは、雪止めと瓦が一体化しています。
瓦を取り替えるだけで済むので、付けるのに手間が掛からないのが特徴です。
また、数枚の瓦を間隔を空けて取り替えるだけなので、後付けも容易にできます。
ただし、瓦屋根の建物にしか使えないので使用できる人は限られるでしょう。
金具タイプ
金具タイプは、屋根材の隙間に金具を引っ掛けて付けます。
主に、スレート屋根や金属屋根に使用する雪止めであり、間隔をあけて付けるので目立たないのが特徴です。
また、取り付けも屋根材の隙間に引っかけるだけなので、後付けが容易にできます。
ネットタイプ
ネットタイプはネット材を屋根に付けて落雪を防ぎます。
どんな屋根にも付けられたり落雪を防ぐ効果も高かったりするので、他の雪止めで効果が得られなかった人におすすめです。
ただし、他の雪止めよりも取り付けが大がかりになるので、工事費用が掛かる点がデメリットです。
屋根に雪止め工事をするときの注意点
屋根に雪止め工事をするときの注意点は、以下の3つです。
- 雪止めを後付けできない場合がある
- 落雪を防げない場合もある
- 雪止めの位置に気をつける
雪止めを後付けできない場合がある
アスファルトシングルと太陽光パネルを使用していると、雪止めは後付けできません。
アスファルトシングルは、シート状でとても柔らかく隙間がないので、雪止めを差し込めない屋根材です。
そのため、雪止めを付けたい場合はカバー工法や葺き替え工事の時がよいでしょう。
また、屋根の軒先の端まで太陽光パネルをつけていると雪止めを付けられない場合があるので、一部を撤去する必要があります。
落雪を防げない場合もある
雪止めを付けたとしても、落雪を防げない場合もあります。
特に、想定を超える量の雪や、細かい雪の塊などは落雪する可能性が高くなります。
そのため、地域で降る雪の特徴を把握し、どんな形状の雪止めなら落雪が起きづらくなるかを業者と相談しておくとよいです。
雪止めはあくまでも落雪を起きづらくする部材なので、あまり過信しないようにしましょう。
雪止めの位置に気をつける
雪止めはどこにでも付けていいわけではなく、軒先から40〜80㎝離れた位置に付けると最もよいです。
なぜなら、重たい雪が集中して乗ると、建物が傷んでしまうからです。
そのため、外壁の真上である軒先から40〜80㎝離れた位置に雪止めを付けると、しっかりと雪の重さを支えられます。
雪止め以外に落雪を防ぐ方法
雪止め以外にも落雪を防ぐ方法として、無落雪屋根にするか融雪システムを導入するかの2種類の方法があります。
無落雪屋根とは、落雪させずに自然に雪を溶かす構造の屋根です。
落雪がなくなるだけではなく、雪下ろし作業の必要がなくなるので大幅に負担が軽減されます。
しかし、雪の重みで建物に負荷が掛かるようになるので、強度をしっかり確保する必要があります。
また、融雪システムは、ヒーターや温水を使って屋根に積もった雪を溶かすシステムです。
落雪や雪下ろし作業の必要がないのはもちろん、一度取り付けると特別なメンテナンスはいらなくなります。
しかし、雪を溶かすスピード以上に雪が降ってしまって落雪したり、燃料代が掛かってランニングコストが高くなったりします。
落雪を防ぐ時はさまざまなメリット・デメリットを考慮して、自分に合った種類を選びましょう。
まとめ
雪止め工事をすると、落雪で人やモノに当たるのを防げます。
しかし、施工方法で雨漏りになる、雪下ろし作業の妨げになる、もらい錆びを受けるなどの可能性があるため、雪止めを付けるときはしっかり検討するべきです。
また、雪下ろし作業がしづらくなるので、雪止めは雪が多く降る場所には向いていないというのも覚えておきましょう。
雪止めは業者とよく相談し、建物や環境に合わせて選んでください。
*K*
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